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オレンジ宇宙制作室(創作文章ブログ)

ホテルと羽虫

 チェックインして部屋に入ると、綺麗に整えられたベッドの真ん中に小さな羽虫がいた。飛ぶ気配がなかったため、そっとティッシュで取って捨てた。
 晩ご飯を外で食べて部屋に戻ると、またベッドの真ん中に羽虫がいた。仕方ないなぁと思いつつ、同じようにティッシュで取った。
 シャワーを浴びて出てくると、また羽虫がいた。さすがに少し嫌な気持ちになったけど、やっぱりティッシュで取った。
 疲れて早々に寝たものの喉が渇いて深夜に目が覚めた。起き上がると、また羽虫がいる。なんで一匹ずつ順番に出てくるんだろう。そう考えたら怖くなって、その羽虫はそのままにして寝た。
 翌朝、羽虫はまだいたけれど、数は増えていなかった。
2018.01.21 20:13(Sun)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

晩ご飯

 麺の上に粉末スープとかやくを入れ、容器の内側の線まで熱湯を注ぎ、蓋をします。三分経ったら、爆発に気をつけながらよくかき混ぜて、できあがり。
2018.01.13 18:40(Sat)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

島めぐりの旅

 やけにポップなメロディの後に流れたアナウンスは、もうすぐ取りつく島に到着すると告げた。
 あからさまにほっとした彼から目を逸らして、無言で窓の外を見る。だって、まだ到着したわけじゃない。
 フェリーの速度は徐々に緩む。
 下船したら、しかたなく許してあげるのだ。彼が謝るから、渋々だ。旅の間ずっと喧嘩しているのもバカみたいだし、せっかくの取りつく島だし。しかたなくだ。
 近づく岸を見ながら私は最初のセリフを考えていた。
2018.01.13 02:02(Sat)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

大晦日

 30匹の新しい犬が31匹の古い犬を追いかける。逃げ切った古い1匹の犬が空に登るときに脱皮したせいで、斑らの雪が降っている。古くて新しい1匹の犬はぐるっと空を旋回してから地上に降りて、一声鳴いた。夜が明ける。




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#三題噺2017to2018
お題は「犬」「新」「30」
https://twitter.com/ice03g/status/946969716173746177
2017.12.31 08:59(Sun)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

十二月二十四日

 良い子にしていても私の家にはサンタが来ないことはわかっていたけれど、悪い子になったらいつかサンタになりたくなったときに不利になる。それなら良い子でいた方がましだ。その程度の気持ちで過ごして、それでも奇跡的にサンタになれた私は、そっと枕元にプレゼントの包みを置いて、あどけない寝顔に目を細める。与えられないと得られない形の幸せは、与えることで得られる形の幸せと、とてもよく似ていた。
2017.12.24 19:57(Sun)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

下層と上層

 何層にも分かれた彼女を私は監視している。下層の彼女たちは静かな眠りについたけれど、上層の彼女たちは咳を繰り返してうなされている。発酵で発生した気体が一番上の彼女を持ち上げ、下の彼女たちもつられてしまう。私はそれをそっと押さえた。すると気体だけが彼女から抜け出し、小さな龍になって登る。天井に溜まった龍はもう三匹。夕方には雨が降りそうだった。
2017.12.24 08:44(Sun)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

十二月九日

 電極を刺して、骨を温める。熱が伝わり、凍っていた筋肉が溶け始める。皮膚が流れるより前に止めなくてはならないのが難しいところだ。
2017.12.09 11:21(Sat)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

いけないこと

 とても綺麗な芋虫だった。小指ほどの大きさの白い芋虫。薄い皮から透けた桃色が、歩く動きに合わせて揺らめき、オーロラのようだった。頭の先を指でつつくと、ひゅっと縮むのもかわいらしい。
 きっと綺麗な蝶々になるのだと思う。そうしたら、もう手のひらに乗せたりはできないだろう。きっと飛んで行ってしまう。
 どこにも行かないで。
 やわらかな背中を撫でる。ほんの少し力を込めると、オーロラが滲んだ。





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「20周年!もうすぐオトナの超短編」
たなかなつみ選 兼題部門(兼題:期間限定) 投稿作
http://inkfish.txt-nifty.com/diary/2017/02/20-acd9.html

結果
http://inkfish.txt-nifty.com/diary/2017/12/post-36a6.html
兼題部門(兼題:期間限定)佳作
2017.12.05 21:27(Tue)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

「ひかり町ガイドブック」超短編 投稿作品2

【名所旧跡】
「結岬」
 人気のデートスポット。海を臨む広場のフェンスに南京錠をかけ愛を誓うと、その二人はずっと一緒にいることができると言われています。

【ものがたり】
『鍵師』
 どんな鍵でも開けますという看板を掲げているせいか、その鍵師の元には奇妙な依頼がたびたび舞い込む。今日は一組のカップルがやってきた。南京錠を外してほしいと言う。別れたいのだけど離れられないのだそうだ。二人の手首には、大きなハート型の南京錠で止められたチェーンががっちりと巻かれていた。
「チェーンを切ろうとしたんですけど、全然ダメで・・・」
 依頼人の男性が言う。
「それはそうでしょう。こういうのは、きちんと手順を踏まないと。ちなみに、どこですか?」
「ひかり町の結岬です」
「ああ、あそこは本物ですから」
「なんとかなりますか?」
 女性が心配そうに聞く。彼らは繋がれた手をめいっぱい伸ばして座っていた。目も合わせない。
 鍵師は苦笑しつつ、うなずく。
「ええ、この南京錠なら大丈夫です」
 彼らはそれぞれ安堵のため息をついた。鍵師は表情を改め、二人に諭す。
「次からはよく考えて、安易にこういうことをしないようにしてくださいね」



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※架空の町「ひかり町」の名所の紹介文とそれにまつわる超短編を書くというルールです。

2012年1月15日の超短編イベントへの投稿作品。

「ひかり町ガイドブック」超短編
http://inkfish.txt-nifty.com/diary/2011/12/post-6b1d.html

結果
http://inkfish.txt-nifty.com/diary/2012/01/post-491c.html
佳作 受賞
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2017.11.10 23:15(Fri)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

「ひかり町ガイドブック」超短編 投稿作品1

【交通】
「ぐるりひかりロード」
 ひかり町の観光スポットをぐるっと巡れる動く歩道です。歩道から降りずに一周した場合、所要時間は三時間半です。けれども、ひかり町には素敵な場所がたくさんあるので、今のところ、歩道から降りずに一周した人は一人もいません。

【ものがたり】
『狩り場』
 地面が川のようになっているおかしな場所がある。そこで待っていると、小さい生き物がときどき流れてくる。ひょいとつまむと、何やら騒ぎ出す。ちょっとうるさいが、味はおいしい。



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※架空の町「ひかり町」の名所の紹介文とそれにまつわる超短編を書くというルールです。

2012年1月15日の超短編イベントへの投稿作品。

「ひかり町ガイドブック」超短編
http://inkfish.txt-nifty.com/diary/2011/12/post-6b1d.html

結果
http://inkfish.txt-nifty.com/diary/2012/01/post-491c.html
優秀作品 受賞
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2017.11.10 23:15(Fri)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |
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