目覚まし時計が鳴っている。枕元に手を伸ばそうとしたら、何かにぶつかった。
「痛っ」
手も痛いけれど、頭も痛い。背中も痛い。目を開けたら床で寝ていた。手が当たったのはベッドの足だ。全然覚えていないけれど、何でこうなっているかは想像がつく。さび付いたみたいに固まっている体をゆっくり起こして手を伸ばし、ベッドの枕元の目覚まし時計を止める。
「あー頭痛い」
飲みすぎた。会社休みたい。今日何曜日だっけ?
「携帯。かばん」
声に出しながら、辺りを見回す。テーブルの上にコンビニの袋と鍵。キッチンに通じる扉が開けっ放しで、その向こうにかばんが落ちているのが見えた。
立ち上がろうとした拍子にひざが何かに当たって、トンっと鈍い音がした。見ると、ウーロン茶のペットボトルが倒れて半分以上入っていた中身がこぼれ出している。
「うわ」
慌ててペットボトルを起こして床をティッシュで拭いたところで、自分が靴を履いたままなのに気づいた。コートも着たままだ。
「あーあ、もー」
反省はするんだけどな。どうしてまたやっちゃうんだろう。
テーブルの上の袋の中を見ると、サンドイッチが入っていた。朝食のつもりで買ったのだろうか。そう思って手に取ると、すでに包装が開けられていた。夜食のつもりだったようだ。ハムとレタスのサンドイッチをひとつ取り出すと、パンが乾いてぱさぱさになっていた。一口食べる。全然おいしくない。
「ていうか、まずい」
サンドイッチを無理やり口の中に押し込んで、口直しにウーロン茶を飲んだら予想以上にぬるかった。なんだかおかしくなって一人で笑って、私はやっと靴を脱いで、ベッドで寝ている彼に言った。
「ただいま」
製品カタログ13「不思議な気持ち」収録。