リクエスト
2010.07.24 Saturday
通学路は両側をビニールハウスに囲まれた街灯もまばらな道だった。
その日は夜遅くなってしまって、私は自転車を飛ばしていた。歩道がないから車道の端を走る。後ろから車が来るたびにひやりとした。本当はこんな道通りたくないけれど、他の道はもっと暗いからしかたない。
ビニールハウスが並ぶ先には貯水タンクがあった。ツツジの植え込みと高いフェンスで囲まれた中に、小豆色でちょうど三階建てくらいの高さの円柱形のタンクが建っている。その先は墓地で、向かいには石材所とお寺が並んでいた。石材所の駐車場の自動販売機がこの道で一番明るい光を放っていた。
私は以前からこの貯水タンクの前を通るのが嫌だった。墓地の前よりも怖かった。誰も見当たらないのに、ツツジの枝がガサガサと揺れたり、フェンスがガシャンと音を立てることがあったのだ。誰か人間が隠れているのだとしても怖いし、誰もいないのだとしても怖い。だから貯水タンクの前だけは、大きく車道にはみ出て通ることにしていた。
その日もいつものように、後ろから車が来てないことを確認して車道に出た。ここを超えれば民家のある明るい道に出られる。もう一息と自分を励まし、貯水タンクの前を全速力で通り抜けようとしたときだった。
「もっと短いスカート穿け」
左の耳元すぐ近くで誰かが囁いた。男の声だったけれど、人の気配はない。振り返らなくても誰もいないのはわかる。私は立ち上がって必死で自転車を漕いだ。スカートがめくれるのも構わず急いだため、結局その声に従う形になってしまったのがとても悔しかった。
その日は夜遅くなってしまって、私は自転車を飛ばしていた。歩道がないから車道の端を走る。後ろから車が来るたびにひやりとした。本当はこんな道通りたくないけれど、他の道はもっと暗いからしかたない。
ビニールハウスが並ぶ先には貯水タンクがあった。ツツジの植え込みと高いフェンスで囲まれた中に、小豆色でちょうど三階建てくらいの高さの円柱形のタンクが建っている。その先は墓地で、向かいには石材所とお寺が並んでいた。石材所の駐車場の自動販売機がこの道で一番明るい光を放っていた。
私は以前からこの貯水タンクの前を通るのが嫌だった。墓地の前よりも怖かった。誰も見当たらないのに、ツツジの枝がガサガサと揺れたり、フェンスがガシャンと音を立てることがあったのだ。誰か人間が隠れているのだとしても怖いし、誰もいないのだとしても怖い。だから貯水タンクの前だけは、大きく車道にはみ出て通ることにしていた。
その日もいつものように、後ろから車が来てないことを確認して車道に出た。ここを超えれば民家のある明るい道に出られる。もう一息と自分を励まし、貯水タンクの前を全速力で通り抜けようとしたときだった。
「もっと短いスカート穿け」
左の耳元すぐ近くで誰かが囁いた。男の声だったけれど、人の気配はない。振り返らなくても誰もいないのはわかる。私は立ち上がって必死で自転車を漕いだ。スカートがめくれるのも構わず急いだため、結局その声に従う形になってしまったのがとても悔しかった。







