HOME > オレンジ宇宙制作室

オレンジ宇宙制作室(創作文章ブログ)

無題

さかさまのささかま。さかなのなかま。まさかのささみ。さしみのさみしさ。
2018.06.14 20:29(Thu)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

昭和遺跡No.655379

 この遺跡からはたくさんの歯が出土しました。全てヒトの乳歯、しかも上の歯でした。長年の謎でしたが、近年、他の遺跡から出土した書物により、上の乳歯が抜けた際に「縁の下」に投げる風習があったことがわかりました。そのことから、この遺跡は「縁の下」であろうと推測されています。また同じ書物の中で、下の乳歯を「屋根の上」に投げる風習も紹介されており、「屋根の上」遺跡の発見が期待されています。
2018.06.03 14:23(Sun)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

びわわ

 オレンジ色の球が緑色のテーブルを跳ねる。「白線の内側にお下がりください」「あなたのお姉さんのお下がりください」いいえ、いいえ。打ち返す者もいないオレンジ色の球はころころと転がって、線路に落ちた。いいえ、いいえ。
2018.05.27 12:08(Sun)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

魚と眠る

 欄干から見下ろす池は、蓮の葉が覆い尽くしている。僅かに覗く水面を錦鯉がちらちらと横切る。
 私は緋色の襦袢の裾をからげ、欄干を乗り越え、勢いのまま飛び降りた。
 蓮葉は私を受け止めることはなく、水音が箱庭の静寂を壊した。
 仰向けに沈む。緋色が溶ける。若い蕾が頭上で揺れる。蓮葉の隙間からキラキラと空を横切る白と赤の魚。
 欠伸をするとこぽりと泡がのぼっていった。すっかり空気が抜けた私は、目を閉じる。斑らになった襦袢がひらひらと揺らめいていた。


----------------
500文字の心臓 第162回タイトル競作『魚と眠る』投稿作
【選評】なし

「絹本墨画淡彩」というタイトルで書きかけていたものを流用。
2018.05.22 21:55(Tue)| カテゴリー:500文字の心臓 | 個別表示 |

歓迎会

 天井に網を張って、色とりどりのリボンを垂らす。リボンの先には、とっておきのものを吊るした。緑のガラスの小瓶。捨てられたピアノの鍵。かつての白い薔薇。湖色の欠けたティーカップ。丸くて平たい斑ら石。ピラミッドの積み木。砂糖と塩の円柱。蟻が閉じ込められた琥珀。麻糸を編み込んだリボンには、動物をかたどった真鍮のピアスをあるだけ刺す。銀色のカラトリーをつないで、垂れ下がるように渡すと、高い音を立てた。日に焼けた骨格模型とくたびれたぬいぐるみの手をつないで、長椅子に座らせて完成だ。
 歯車が回って鐘が鳴る。壁を押して、あなたを迎える。真紅のワイン? それとも黒瑪瑙のチョコレート? 積み上げたビスケットはいくらでも食べて構わないけれど、眠るのだけは許さない。
2018.05.19 14:17(Sat)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

夏の左手

 左手は暑さに弱いから、夏になる前に取り外して冷蔵庫に保管する。最初の年は間違えて冷凍庫に入れてしまった。そのときにできた指輪の跡は、今も残っている。
2018.05.09 17:07(Wed)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

花巡り、四月末

 風に落ちた白い小さな蜜柑の花を辿って会いに行く。火の勢いが落ち着いてきたレッドロビンの生垣の道。みずみずしいハナミズキの葉の下。ピンクと白のツツジの階段。大輪の赤い薔薇が咲いたら行き止まり。私に水をくれるのはだあれ?
2018.04.28 23:16(Sat)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

初春、初夏

 夜、冷たい雨が降ってきたら、梅の匂いの角を曲がる。
 夜、生温かい雨が降ってきたら、木香薔薇の匂いの角を曲がる。
2018.04.24 20:23(Tue)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

四月六日

 オープンテラスの席で、カフェオレを飲む。大きな塊になった埃が、足元でくるくると回っている。引きずられた髪の毛は尻尾。小さな落ち葉は耳だ。チィチィと鳴きながら、席を立った私の後をついてきたから、名前を考えなくてはならない。
2018.04.06 19:28(Fri)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

四月五日

 オオイヌノフグリの花を、ひとつひとつ摘み取って、方眼紙に並べる。微妙な色の違いで、離れて見ると霞がかった空のようだ。紙全体が小さな花で覆われたところで、丸めて捨てる。
2018.04.06 02:50(Fri)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |
| 1 / 45 | >>

タイトル

アーカイブ

作品検索