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オレンジ宇宙制作室(創作文章ブログ)

テーマ100 冬眠の果て

2007年になったかならないかくらいのころに始めた、自分で事前に決めておいたタイトルにそって作るという企画。
春になる前に始めたから「冬眠の果て」なのだけど、全部終わらないまま翌年の秋のサイトリニューアルで削除。

001から062まで書いた。
そのうちのいくつか。
2007.06.24 06:23(Sun)| カテゴリー:テーマ100 冬眠の果て | 個別表示 |

ほんとの話

 毎日赤い靴が届くというのは嘘。
2007.06.17 06:21(Sun)| カテゴリー:テーマ100 冬眠の果て | 個別表示 |

へんてこコンテナ

「今日はいい天気だ」
 日差しに温められたコンテナによりかかり、俺はそう言う。背中のコンテナから、ゴンと音がした。
「明日には港に着くぞ」
 ゴン。
「港に着いたらどこに行くか知ってるのか?」
 ゴンゴン。
「そうか」
 魚の群れでもいるのか、遠くに海鳥が集まっているのが見える。
 空も海も同じに深い青。
 甲板にはくすんだ赤いコンテナがいくつも並ぶ。
「おまえ、そこから出たいか?」
 もう何度も聞いた問いだ。
 しばらく経った後、ゴンゴンと音がした。


豆本「超短編豆本 菖蒲ノ巻」に、「コンテナ」に改題して加筆して収録。

2007.06.17 06:18(Sun)| カテゴリー:テーマ100 冬眠の果て | 個別表示 |

抜け殻

 いつの間にか脱皮してどこかに飛んでいってしまった。私の中身だった彼女は今どこにいるんだろう?






豆本「女の子たち」収録

2007.05.12 06:13(Sat)| カテゴリー:テーマ100 冬眠の果て | 個別表示 |

海苔

 僕の思いを届けたくて、君に手紙を書いた。
 僕のことをもっと知って欲しくて、君に手紙を書いた。
 君からの返事は来なかった。
 味付きなら君は返事をくれただろうか。
 君のことをあまりよく知らない僕は、君の好みがわからなかったんだ。
2007.05.12 06:12(Sat)| カテゴリー:テーマ100 冬眠の果て | 個別表示 |

ぬりえ

 あなたの縁取り線を消して、あたしの手とつなげた。
 あなたの頬をピンクに染めて、あたしとおそろいにした。
 空は青。街は秋色。
 手をつないで、坂道を登る。
 あたしのふきだしに「好き」と書く。
 あなたのふきだしは何て答えるだろう。
2007.05.12 06:11(Sat)| カテゴリー:テーマ100 冬眠の果て | 個別表示 |

手土産

 遅くなったおわびにと、私が小さな包みを差し出すと、妻は顔をしかめて一歩後ずさった。
「どうした? ほら土産」
「いやっ。そんなのいらないわよ」
「いらないって、せっかくお前のために買ってきてやったのに」
「やめてよ。気持ち悪い」
「気持ち悪いとは、なんだ?」
 私は頭にきて土産の包みを妻に投げつける。
 包みは途中でほどけて中身が出てしまい、妻のエプロンにはべったりと血の手形がついた。
「やめてよ。気持ち悪い」
 自分のエプロンと足元の土産を見下ろして、妻はもう一度そう言った。

豆本「超短編豆本 羊草ノ巻」収録

2007.05.12 06:09(Sat)| カテゴリー:テーマ100 冬眠の果て | 個別表示 |

続きはまた今度

 物語の途中で母親の声が途切れ、少女はベッドから体を起こす。見ると母親は椅子に腰掛けたまま眠ってしまっていた。
「お母さん?」
 少女は控えめに声をかけたが、母親は起きない。今度は大きめに呼んだ。
「お母さん! 続きは?」
「続き、知りたいか?」
 答えたのは母親ではなかった。少女の祖母よりももっとずっと年をとった老婆の声だった。
「お話の続きを知りたいのかい?」
「誰? どこにいるの?」
 声は聞こえるのに、姿は見えない。少女は見慣れた自分の部屋をきょろきょろと見回した。
「お前、続きが知りたいんじゃないかい?」
 声は同じことを繰り返すだけで、少女の問いには答えない。
「これからどうなるのか、知りたくないのかい? お前は、続きを知らないままでいいのかい?」
「えー……」
「それなら、続きを知りたいかい?」
「知りたい」
「じゃあ、おいで」
 少女がうなずくと、明るかった部屋が急に真っ暗になった。
 ところで、お前もこの続きが知りたいか?

製品カタログ「かなかなの夜」収録。

2007.05.12 06:04(Sat)| カテゴリー:テーマ100 冬眠の果て | 個別表示 |

スリット

 彼の家の外壁には、ちょうど名刺一枚分の厚みと同じくらいの細い隙間がある。
 勝手口の横で、目の高さくらい。縦幅はだいたい十センチくらいだろうか。
 この隙間は、ピーマンの種を入れるためのものらしい。
 彼は子どものころ、間違えてパプリカの種を入れてしまった。
 そのときに何があったのか彼はどうしても言いたがらないけれど、ピーマンが嫌いになったのはそのせいなんだそうだ。

豆本「超短編豆本 羊草ノ巻」収録

2007.05.12 06:01(Sat)| カテゴリー:テーマ100 冬眠の果て | 個別表示 |

solid

 新聞を読んでいるお父さんも、目玉焼きを焼いているお母さんも、目をこすりながらおはようを言う弟も、みんな、固い。
 冷蔵庫から牛乳を取り出す私も、もちろん固い。
 そして、冷たい。
2007.05.12 06:01(Sat)| カテゴリー:テーマ100 冬眠の果て | 個別表示 |
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