HOME > オレンジ宇宙制作室

オレンジ宇宙制作室(創作文章ブログ)

普段の階段

 身体は、朝に上って夜には下る。
 心は、朝に昇って夜には沈む。
 歪な私は、朝に登れず夜には落ちる。
2018.08.01 19:53(Wed)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

七月三十日

 立ちくらみがするとき、ほんの少し世界がずれる。二千回目に私はきっと振り落とされるだろう。
2018.07.30 23:53(Mon)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

Smart mother

「腹減ったなー」
「そう? 私はまだ減ってないわ」
「俺は減ったんだよ」
「私はまだよ」
 首を振るママにパパは「そうじゃなくてさ」と苛立った声を上げる。
「そうじゃないのはパパの方だよ」
 僕はテレビを消すと、ママを呼ぶ。
「ママ!」
「はい? どうしたの?」
「僕、お腹がすいちゃった。ミートソーススパゲティを作ってよ」
「ええ、いいわよ」
「あ、二人分、作ってね」
「はあい」
 ママは微笑んで、僕の頭を撫でてキッチンに向かう。
 パパを振り返ると何とも言えない顔をしていた。
「いい加減、覚えなよ」
 僕は取扱い説明書を開いたタブレットをパパに押し付けた。
2018.07.29 20:58(Sun)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

銀のエンゼル

 なんとなく買ったチョコボールを開けて、私は歓声を上げた。
「わー、初めて見る! 銀のエンゼル!」
 祖母に見せると、「ちょっと待ってね。確かこの辺に」と、台所の引き出しを探る。
「ほら、何枚かあるでしょ?」
 祖母が渡してくれたビニール袋には三枚、銀のエンゼルが入っていた。
「すごい! おばあちゃんが集めたの?」
「まさかー」
 ふふっと笑って祖母は袋から出したエンゼルを裏返す。
 そこには、亡くなった父の名前が書いてあった。
2018.07.28 14:55(Sat)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

七月二十五日

 昔の自分を棚に載せると、ぼた餅が落ちてきた。
2018.07.25 09:21(Wed)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

七月二十四日

 スイッチを押すと、全部のカードが裏返る。何度も繰り返すと、段々と時間差ができていく。一番素早いカードは少しずつ浮いてくるから、それをお守りにして眠りにつく。夜が沈まないように。
2018.07.24 21:35(Tue)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

七月二十三日

 地下に入ると、私の足元に生暖かいものがまとわりつく。くるくると何周かして、駅の冷気にすうっと溶けた。
2018.07.23 23:45(Mon)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

七月二十二日

 窓枠がギラリと光り、私を睨む。柿の葉は手のひらを返し、私を日向に押し出す。アスファルトに足を取られないようにオアシスを目指す。
2018.07.22 14:04(Sun)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

七月二十一日

 電車の中で隣に座る人の手の甲に目があった。やたらと目が合うから、困った。
2018.07.21 21:37(Sat)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |

記念の時計

 結婚記念の置き時計が動かなくなった。
 天使が二人がかりで掲げているアンティーク調の時計を彼女はとても気に入っていて、「壊さないようにしようね」と言っていた。それが動かなくなったと知ったらがっかりするだろう。彼女が帰ってくる前に直せないかと、僕は時計を天使の手から取り上げた。
 しかし、それは間違いだった。
 裏蓋を開けると、時計の中には針しかなかったのだ。複雑に組み合わさっていた針は一瞬で崩れる。僕は途方に暮れた。正直に話して修理に出そうと思ったのに、彼女は帰ってこなかった。その夜からずっと。そして、一週間後、手紙が届いた。
『壊さないようにしようって言ったのに』







--------------
2018年7月16日開催の「第7回Text-Revolutions(テキレボ)」内ユーザー企画
第6回300字SSポストカードラリー
お題:時計
http://300.siestaweb.net/

上記企画で作成したポスカの本文です。
※写真内の手描き文字も作品の一部で、文字数のカウントに含めています。
2018.07.21 15:30(Sat)| カテゴリー:単品 | 個別表示 |
<< | 2 / 35 | >>

アーカイブ

作品検索